「もう!あの高田のバカ親父!ほんと腹立つわ!」
私は、道端に転がっていた空き缶をおもいっきり蹴飛ばした。
「これこれ」
その時、後ろから誰かに肩を叩かれ、振り向くと、あきれた顔のミキが立っていた。
「あら、ミキ。どうしたの?」
「何がどうしたの?よ!。さっきから、声掛けてるのに、振り向きもしないで、ぶつぶつ言っちゃって。挙句の果てに、空き缶まで蹴っ飛ばしちゃってさ」
「えっ!全然気付かなかった」
ミキは、あきれたように、両手を挙げ、「やれやれ」とため息をつくと、
「どうしたのよ?。何を怒ってるの?」と聞いてきた。
「ちょっと、聞いてよ!うちのバカ高田課長ったら、なにかっつ~と、「田中君、お茶」って、私は、お前の妻じゃないつーの!」
「はいはい。また、いつもの事ね」
「ほんと、あのバカ課長だけは、腹が立つ。今度、唾でも入れてやろうかしら」
「今度?睦子の事だから、実はもう入れてたりして」と、にやりと笑いながら、私の顔を覗き込んできた。
「え~~~。入れてないよ~」
入れてやろうとは、思った事は何度もあるけど、いざ、入れるとなると、いつ人が来るかもわからないし、気になってできなかった。
「そうなの?私入れてるよ」
「うそ!?ほんとに?」
「だって、女だからって、なんで、仕事もろくにできない奴に、お茶入れないといけないの?腹立つから、毎回入れてやってるわ」
「ばれないの?」
「よ~く混ぜておけば、わからないわよ。毒じゃないんだから。それにね、私が入れたお茶はおいしいんだって。いい隠し味になってるのかもね」
ミキは平然と言った。
入社した時、同じ課だった、ミキは、子供のような所があるくせに、行動力はある。
私は、ミキの、そお言う所がうらやましかったりするのだ。
そお言うこともあって、配属が変わって、会社ではあまり会う事は無くなった今でも、腐れ縁が続いている。
私は、田中睦子、25歳。ミキは山本ミキ、同じく25歳。お互い独身である。
ミキは、「彼氏が欲しいよ~」と常々言っているが、週末になると、「ゲームしようよ~」と、声を掛けてくる。そお言う、子供っぽい所が好きで、断れずに、しぶしぶ付き合ううちに、私も、かなりゲームには詳しくなった。
どうせ、今日も、ゲームの誘いだろう。
「ねえ、ねえ、新しいゲーム機買ったんだ。明日やらない?」
ほらきた。
どうせ、夕方まで暇だし、明日、ミキの家に行く約束をした。
そこからは、えんえんと、ミキのゲームについての薀蓄が始まったのだが、
ミキと話した事で、腹立たしさは、すっかり消えていた。
翌日、朝から、ミキの家を訪ね、玄関の前に来た時、いきなり玄関のドアが開いて、
中から、高校生ぐらいの男の子が、慌てた様子で、出てきた。
「キャッ!」
ぶつかりそうになり、思わず、声が出てしまった。
男の子は、「ごめんなさい」と頭を下げると、慌てて走り去っていった。
かわいい~。誰?あんな子いたっけ。
「おはよ~」
中から、ミキが出てきた。
「誰、今の?」
「えっ?ああ、弟の順よ。会った事なかったっけ?」
「無い無い」
「今まで、部活部活で朝早くから、夜まで練習ばっかだったからね~。引退したと思ったら、女の子に目覚めちゃって、今日、生まれて初めてのデートなのよ」
引退と言うことは、高校3年生かな?
「ちょっとは、勉強しろって感じなんだけどね。まあ、あがってよ」
弟の話をしながら、ミキの部屋に行くと、ミキが、新しいゲーム機の電源を入れ、ゲームの事をしゃべってるのに、弟の事が気になって、ほとんど耳に入らない。
順って言うんだ~。
童貞なのかな~。初デートって言ってたし、きっとキスもまだよね。
坊主頭だったから、野球でもやってたのかしら。
「ちょっと!聞いてる?」
弟の事ばかり考えて、上の空の私に、ミキが顔を覗き込んで聞いてきた。
「えっ?ごめんごめん。聞いてるよ」
私は、作り笑いをしながら、ゲームを続けた。
やり始めると、はまる物で、結構長い時間していたようだ。
時計の針は、2時をさしている。
夕方から、用事が会った私は、帰る事にし、
「え~、もう帰っちゃうの~?」と言うミキに、
「ごめんごめん」と誤りながらミキの家を出た。
駅への道を歩いている時に、前から、順君らしき子が歩いてくる。
しょんぼりしている所を見ると、振られたようだ。
声を掛けようか迷ったが、用事があるのを思い出し、
「ま、あせる事ないか」
独り言のように、呟くと、順君の横を通り過ぎ、駅へと急いだ。
次の週末、私は、買い物をしに街に出ていた。
その時、順君を見かけたのだ。
信号を待つ私の反対側で、へんに、うろうろと動き回っている。
何をしてるんだろう。
暫く、様子を伺っていると、順君は、スポーツバッグを持ち、ミニスカートの女性の後ろについては、暫くすると、また、違う女性の後ろにつく。
まさか、盗撮!?
そう思った私は、青になった信号を渡らずに、やり過ごすと、監視を続けた。
順君も、案の定、信号が青になっても渡る気配は無い。
信号が赤になると、また、さっきと同じように、女性の後ろにつく事を繰り返している。
間違いない!彼は、盗撮をしているんだわ。
どうしてやろうか・・・
私は、こみ上げて来る笑みを抑えつつ、信号が青になるのを待った。
暫くして、信号が青になり、1度通り過ぎると、また引き返し、順君のいる所で、信号を待った。
案の定、順君が近づいてくると、バッグを私の足元に来るようにした。
どうせ、この中に、カメラが入ってるんでしょ。
これから、する事を思うと、わくわくする自分に気がついた。
そう。私は、高校生ぐらいの男の子を、自分のペットのように、言う事を聞かせる事に興奮するのだ。
初めて、順君にあった日の夜、順君の坊主頭を太ももに挟み、クンニさせている事を想像して、オナニーをした。それが、今、現実になるチャンスなのだ。
順君が、次の女性に移動しようと、離れようとした時、私は、順君の腕をつかんで、きっ!と、無言で、睨み付けていた。
順君は、いきなり腕を捕まれた事で、びっくりして、おどおどしていた。
「ちょっと来なさい」そお言って、腕をつかんだまま、裏通りまで、引っ張っていくと、
あたりに人気がなくなった頃、「なんだよ!離せよ!」精一杯の強がりだろう。
ささやかな抵抗をしてきた。
「あんな事していいと思ってるの?」
「俺が何したってんだよ」
「あら、とぼけるのね。順君ってそおいう子だったんだ」
「えっ!!」
名前を言われた事で、かなり動揺した様子の順君。
「ほら、私よ。この前、家の玄関の所で、ぶつかりそうになったじゃない」
「あっ!」
それっきり、強がるそぶりは見せなくなり、
「ごめんなさい。ごめんなさい。許してください」
順君が必死に謝ってきた。
「なんで、あんな事するの?」
「・・・・」
「お姉さん、聞いてるんだけどな~」
「・・・・」
「話してくれないんじゃ、今から、君のお姉さん、ここに呼ぼうか?」
「えっ!だめ、そんな事されたら、家に帰れなくなっちゃう」
「じゃ、素直になりなさい」
「興味があって・・」
やっと話し出した順君に、更に質問を浴びせる。
「見たいの?彼女はいないの?」
「いません。どうしても見たくて・・・我慢できなくて・・・・」
顔を真っ赤にして、答える順君。
「見たいからって、あんな事したら、犯罪よ。変態ね」
更に、言葉でいじめる。
「ごめんなさい。もうしませんから、許してください」
泣きそうになりながら、何度も、頭を下げる順君。
暫く、そんな順君を見ていた私は、「見せてあげてもいいわよ」と言ってみた。
びっくりして、顔を上げる順君に、
「でも、きちんと罰を受けてもらわないとね。私の言う事が聞ける?」
何度も、うなずく順君。
「どんな事でも?罰だから、甘くないわよ」
「何でも言う事を聞きます。だから、誰にも言わないで」
そお言って、懇願する順君。
「そう。じゃ、まず、そのバッグの中のカメラを渡しなさい」
順君は、慌てて、バッグから、カメラを取り出し、差し出してきた。
私は、カメラを自分のバッグにしまうと、
「じゃ、行きましょうか」と順君の手を引いた。
「ど、どこへ?」
警察と思ったのか、恐る恐る聞いてくる順君。
「ふふふ、私の部屋よ」
私の頭の中は、どおやって、ペットに仕立て上げようか、その事ばかり考えていた。
何も知らない、順君は、ほっとしたように、ついてくる。
私は、込み上げて来る笑みを隠しながら、あそこが濡れているのを感じていた。
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